【OSI参照モデル/OSI reference model: Open System Interconnection reference model】
・通信機器を作る、あるいは通信機能を使ったアプリケーションを作る際に模範とするべき階層図。
インターネットの黎明期には、通信機器とその規格が乱立しており、他社製品との通信が困難な時期があった。その不便さを解消してほしいというユーザーの声に応じて策定された設計方針とも言える。
実際には1990年代に TCP/IP が急速に普及したことから、OSI準拠製品はあまり広まらなかったらしい。
現在では、「ネットワーク通信の基本的な考え方」という扱いであり、エンジニアであれば理解しておくべきものとされている。
図解すると、以下のようになる。
通常は数字で階層を表すことはなく、データリンク層などの名称を用いるものらしいですよ。
第7層 | アプリケーション層 | アプリケーションに対応したプロトコル。 |
第6層 | プレゼンテーション層 | データの種類や送信ビット数に関する規定。 (データの圧縮、暗号化など。) |
第5層 | セッション層 | 通信モードや同期方式に関する規定。 下位層との間に信頼できるリンクを提供し、同期やフロー制御を行う。 |
第4層 | トランスポート層 | 送受信の確認やアプリケーションの識別に関する規定。 |
第3層 | ネットワーク層 | 通信経路の選択や識別アドレスに関する規定。 |
第2層 | データリンク層 | 通信路の確保やエラー訂正に関する規定。 |
第1層 | 物理層 | 物理的な回線や機器類、電気信号に関する規定 |
・第7層(アプリケーション層)では、あくまで「アプリケーションに対応したプロトコル」を示す。 ソフトウェアそのものを示すのではないことに注意を。
言葉的な意味としては、「開放型システム間相互接続」。 まあ、「他の人が作った製品とも相互通信出来るように作るシステムの考え方」というところでしょうか。
[TCP/IPモデル] インターネット通信などで利用されるTCP/IPプロトコルを、階層化した模範図。
主流は4階層モデルだが、それをさらに細分化した5階層モデルも存在する。
OSI参照モデルよりも階層が少ないが、実用開発された当時のハードウェアが簡素なつくりをしており、現在のものに比べて格段に簡素なものであることから、4階層の構造で十分に対応出来たためだとされている。
<TCP/IPモデル 4層と5層の比較>
〔4層モデル〕 | 〔5層モデル〕 |
第4層 | アプリケーション層 | アプリケーション層 | 第5層 |
第3層 | トランスポート層 | トランスポート層 | 第4層 |
第2層 | インターネット層 | インターネット層 | 第3層 |
第1層 | ネットワーク インターフェース層 | データリンク層 | 第2層 |
物理層 | 第1層 |
4層モデルに於いての「ネットワーク インターフェース層」は、5層モデルでは「データリンク層」と「物理層」に分かれていますね。これは、
5層モデルが後発であり、ネットワーク設定が複雑化しつつあるために分離した。と考えると、わかりやすいかな。
細かく言うと、5層モデルの物理層は、さらにMac層と通信層という副層構成になっていたりします。が、管理人の理解が追いついていないので、知りたい人は<
Mac副層 と LLC副層>を参照してください。
〔OSI参照モデルと、TCP/IP4層モデル〕の対比表です。
TCP/IPの階層モデル | 該当するTCP/IPプロトコル | OSI参照モデル |
| HTTP(ブラウザ)、SSH(セキュアシェル)、 SMTP(メール送信)、POP3(メール受信)、 FTP(データ転送)、 RIP、SNMP・・・ | アプリケーション層 |
プレゼンテーション層 |
セッション層 |
トランスポート層 | TCP(上層への橋渡し:信頼性高、低速) UDP(上層への橋渡し:信頼性低、高速) | トランスポート層 |
インターネット層 | IP、ARP、ICMP、OSPF・・・ | ネットワーク層 |
ネットワーク インターフェース層 | Ethernet(LAN規格)、PPP(ネットワーク通信)・・・ | データリンク層 |
物理層 |
かっこ書きしてあるのは、そのプロトコルが使われる機能ですね。書いていないのは、単純に纏められるほどの力がないだけです。まあ、開発者でなければ使わないだろうとも思いますが(^^;)